千葉県行政書士会市原支部における令和2年度第1回市原支部研修会(令和2年8月25日)において、市原市勤労会館(YOUホール)で、行政書士を対象とした上記タイトルの研修講師を務めましたので、ここにご報告致します。

本講義は市民法務研究会(千葉県行政書士会千葉支部)で平成30年2月24日に「行政書士のための改正債権法講義<上>」、同年4月21日に「行政書士のための改正債権法講義<下>」と全2回にわたり、いち早く改正債権法のうち、行政書士業務に深く関係する箇所を解説した内容に基づいています。
また、令和2年2月22日に同研究会において、「行政書士のための改正債権法講義」として、<上>・<下>を合わせた完全版を実施しましたが、それらの経験に基づいて、口頭での講義内容をさらにブラッシュアップさせて市原支部研修会には臨みました。

当日は、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した運営が市原支部執行部によりなされ、参加者全員マスク着用の上、手指の消毒・検温の実施、ソーシャルディスタンスを意識した広い配席等の中、当職もマスク着用のまま3時間の講義をやり切りました。
また、新型コロナウイルス対策により参加できなかった市原支部の行政書士のために、本研修会ではビデオ撮影も行い、後日、YouTube(限定公開)やDVDでビデオ講義を視聴できるように配慮もなされていました。
安全な環境下で無事に講義を完遂できたことに、市原支部執行部及び参加者にお礼申し上げます。

YouTube(限定公開)の映像より研修の様子

さて、講義内容は多岐にわたる債権法改正の中から、行政書士業務に関するものをピックアップし、ケースを用いて改正債権法を行政書士実務に即して理解できるよう工夫して実施したものとなります。
 本講義において解説したテーマは①意思能力、②消滅時効、③法定利率、④保証債務、⑤定型約款、⑥危険負担、⑦債務不履行、⑧解除となります。

改正債権法は企業法務及び市民法務の双方に係る法改正なので、企業法務の専門家であり、かつ、市民法務研究会の代表である当職の特性を活かした講義を心がけました。

こうして、単に法改正情報を解説するのみでなく、実務と絡めた解説を行政書士の観点から行うものは類書がないため、この後、可能な限り速やかに電子書籍において出版する予定です。
 
さて、本講義において参考にした文献を紹介します。
「実務解説 改正債権法(第2版)」(弘文堂) 著者:日本弁護士連合会編
 日弁連による法改正の趣旨・内容から実務への影響までを解説した書籍。条文ごとに順序立てた構成なので使いやすいです。本講義では主にこの書籍を参考にしました。

次に、改正債権法の全体像を把握する上で、下記の書籍を参考にしました。
「民法(債権法)改正のポイント」(有斐閣)著者:大村敦志 道垣内弘人 編
 民法学者により改正債権法の全体像が解説され、テーマごとに改正のポイントが整理されており要点を確認できます。
また、立案担当者によるQ&A形式の解説書である下記書籍は、改正債権法を理解する上で必読であると考えられます。
「一問一答 民法(債権関係)改正」(商事法務)
著者:筒井健夫 村松秀樹 編