令和2年6月15日
ビジネス法務エグゼクティブ
(ビジネス実務法務検定1級)
特定行政書士 安平 一樹

法人200万円・個人100万円を上限とする新型コロナウイルスに関する持続化給付金について、その情報を当サイトにて解説します。
その理由として、当事務所は企業法務を専門としていることから、企業(会社や個人事業主)と顧問契約を締結しており、顧問先から持続化給付金の相談を受けて申請し、当該給付金の迅速な受領に寄与した経験を役立てたいと考えたからです。

よって、当サイトの情報はご自身で持続化給付金を申請する場合の参考となるよう配慮して記載しています(概要を説明した後、経済産業省のサイト等を案内しています。)。

なお、持続化給付金の申請を業務として代行できるのは行政書士のみとなります(経済産業省に日本行政書士会連合会が確認済み。ネットでは誤った情報がありますのでご注意ください。)。
手間をかけず早く持続化給付金を申請したい方は、「3 当事務所の受任の流れと報酬基準」をご確認ください(報酬額は原則、当該給付金の趣旨を踏まえ、完全成功報酬で給付額の3%となります)。新型コロナ感染予防対策のため、非対面で本人確認をして手続きを進めますので、全国対応しています。

 持続化給付金の概要

(1)給付対象者(法人及び個人事業主)
法人は会社のほか(株式会社・合同会社等の会社形態は問わない。)、医療法人・農業法人・NPO法人等、会社以外の法人も給付対象者となります。ただし、資本金または出資の総額が10億円以上の大企業のように資金力のある法人(資本金や出資額の定めがない場合は、常時使用する従業員の数が2000人超である法人)や公共法人(法人税法別表第一に規定)のように、中小企業を保護するという当該給付金の目的に沿わない法人は給付対象外となります(宗教や政治、性風俗に関する団体も対象外です。)。
正確には、「(5)給付要件や申請手続きの確認」でリンクを貼っている経済産業省のサイトでご確認ください。
個人はフリーランスを含む個人事業主が給付対象となります。
また、法人・個人とも、今後も事業を継続する意思があることや、2019年以前から事業による売上があることも必要となります。
新型コロナにより売上が減少した企業を支援するための制度だからです。

そして、前年度との比較において、今年度の売上が50%以上減少した月があることが要件となります(今年度のどの月であってもかまいません。)。
たとえば、今年度の1月と前年度の1月、今年度の5月と前年度の5月といったように、月単位で今年度と前年度を比較します。その比較において、1ヶ月だけでも前年度より売上が半額以下になっていれる月があれば、給付要件を満たします。

なお、給付要件を欠くにもかかわらず、不正な申請をして給付金を受給した場合、利息付の返還や申請者名の公表、悪質な場合には刑事告発を受ける可能性がありますので、くれぐれも不正な申請はしないようにしてください。

(2)給付額の上限ならびに計算式
法人は200万円、個人事業主は100万円が上限となります。

給付額の計算式
前年の事業収入-(前年同月比▲50%月の売上×12ヵ月)

この計算式と上限額の関係を解説します。
まず計算式から考えます。「前年の事業収入」とは、単純な売上の総額です。つまり、売上から経費を引いた「利益」ではありません。

下図のような売上の企業で考えてみましょう。
法人・個人と共通して説明できるように、法人も個人と同じく12月決算とします。

2019年度(年間の売上総額800万円)

1月 2月 3月 4月 5月 6月
65 50 70 60 60 55
7月 8月 9月 10月 11月 12月
65 60 65 70 80 100

2020年度

1月 2月 3月 4月 5月 6月
60 40 40 40 20
7月 8月 9月 10月 11月 12月

この例だと、昨年の売上総額800万円が「前年の事業収入」であり、そこから人件費や賃料等を引いて算出する利益ではないということです。
次に、今年の5月の売上が20万円で、前年度の5月の売上が60万円なので、前年同月比50%以下の売上となっており、この月を基準として計算できます。よって、今年の5月の売上に12をかけて計算します。

これを先ほどの式にあてはめると以下のとおりとなります。

給付額の計算式
前年の事業収入-(前年同月比▲50%月の売上×12ヵ月)
800万円-(20万円×12ヶ月)=560万円

この560万円が給付額の上限より大きければ、満額受給できます。

法人の場合 560万円>200万円 給付額200万円
個人の場合 560万円>100万円 給付額100万円

逆に、さきほどの560万円が仮に120万円だったとしましょう。

法人の場合 120万円<200万円 給付額120万円
個人の場合 120万円>100万円 給付額100万円

このように、上限額を範囲として、各企業により計算式や給付額は異なることになります。

(3)申請手続の概要
まず、申請は電子申請のみとなります。申請は下記の中小企業庁のサイトから、パソコンだけでなくスマホでも行えます。
https://www.jizokuka-kyufu.jp/procedures_flow/

上記サイトの申請手順をそのまま引用します。

①申請の要件を確認し、証拠書類(添付書類)を準備
②【申請する】ボタンを押して、メールアドレスなどを入力【仮登録】される
※上記サイトの下部に「申請するボタン」が表示されています
③入力したメールアドレスにメールが届いていることを確認し【本登録】を行う
④ID・パスワードを入力すると[マイページ]が作成される
⑤マイページから申請情報入力、証拠書類をアップロードして申請
⑥持続化給付金事務局で、申請内容を確認
※申請に不備があった場合は、メールとマイページへの通知で連絡が入ります
⑦通常2週間程度で、給付通知書を発送、ご登録の銀行口座に入金
※特例を利用した申請については、給付までに時間を要することがあります

次に、証拠書類(添付書類)の説明をします。
電子申請なので、スキャンまたは写真撮影にて書類を電子データに変換する必要があります(各データの保存形式はPDF・JPG・PNGに限定されます)。
なお、iphoneまたはiPadで、iOS11以降を使用している方は、保存形式が異なりそのままでは電子申請できませんので、「設定」→「カメラ」→「フォーマット」と画面を移動して、カメラ撮影を「互換性優先」に変更してから撮影してください。

法人の場合の添付書類

① 確定申告書類
・確定申告書別表1の控え(1枚)
・法人事業概況説明書の控え(2枚)
※e-Taxで申告している場合はさらに「受信通知(1枚)」が必要です。
②本年度の対象とする月の売上台帳等
例:経理ソフトから抽出した売上データ、エクセルで作成した売上データ、手書きの売上帳のコピー
③法人名義の口座通帳の写し(法人の代理者名義も可)
※銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・名義人が確認できるようにデータ化し、確認に必要であれば、通帳のオモテ面と通帳を開いた1・2ページ目の両方を添付します。


個人の場合の添付書類

①確定申告書類
<青色申告の場合>
・確定申告書別表1の控え(1枚)
・所得税青色申告決算書の控え(2枚)
※e‐Taxで申告している場合はさらに「受信通知」(1枚)が必要となります。また、確定申告書の控えに収受日付印がない場合や、e‐Taxで申告し受信通知がないときは、「納税証明書(その2所得金額用)」(1枚)が必要となります。
<白色申告の場合>
・確定申告書第一表の控え(1枚)
※e-Taxで申告している場合はさらに「受信通知(1枚)」が必要となります。また、確定申告書の控えに収受日付印がない場合や、e‐Taxで申告し受信通知がないときは、「納税証明書(その2所得金額用)」(1枚)が必要となります。
②本年度の対象とする月の売上台帳等
例:経理ソフトから抽出した売上データ、エクセルで作成した売上データ、手書きの売上帳のコピー
③通帳の写し(申請者名義の口座の通帳の写し)
※銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・名義人が確認できるようにデータ化し、確認に必要であれば、通帳のオモテ面と通帳を開いた1・2ページ目の両方を添付します。
④本人確認書類
運転免許証(両面)やマイナンバーカード(表面)等のコピー


(4)申請受付期間
持続化給付金の申請期間は令和2年5月1日から令和3年1月15日までとなります。
もっとも、期限に間に合わない事情がある方の申請期限が令和3年2月15日まで延長されました(ただし、令和3年1月末までにその旨を申し出る必要があります)。

(5)給付要件や申請手続きの確認
給付要件や申請手続きにつき、詳しくは下記経済産業省のサイトをご確認ください(特に「申請要領」を精読してください。)。当サイトの記載は概要把握のため簡略化しているため、その記載内容のみに基づいて申請されても当事務所は責任を負うことはできません。必ずご自身の責任で経済産業省の説明に基づいて申請してください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html

 申請サポート会場の案内

上記の説明を基にご案内した経済産業省や中小企業庁のサイトを確認すれば、ご自身で申請することは十分可能と思われます。
しかし、ご自身で電子申請をすることが困難な方用に、経済産業省により「申請サポート会場」が設置されています。申請サポート会場は新型コロナウイルス感染防止のため、「完全事前予約制」となっています。なお、申請サポート会場は、原則として、電子申請がご自身でできない方用の対策なので、必要書類はご自身で準備することが求められます。
詳しくは下記サイトをご確認ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/shinsei-support.html

 当事務所の受任の流れと報酬基準

①早く持続化給付金の申請をしたい方や、②上記案内によってもご自身で申請するのが困難な方は、当事務所への依頼をご検討いただければと考えます。

(1)報酬額(完全成功報酬型で給付金額の3%が原則)
報酬は完全成功報酬型なので、持続化給付金が受給された場合のみお支払いただくかたちとなります。また、給付された金額の3%が報酬額となります。
つまり、個人事業主で100万円給付された場合は3万円(税別)、会社で200万円給付された場合は6万円(税別)となります。

これは、当事務所の顧問先と同じ価格設定にしており、顧問契約なしに同価格にしている意図は、本持続化給付金の趣旨に沿うかたちでの支援が業務としても必要であろうと考えたことによります(当事務所よりも高い報酬額を提示している行政書士事務所も、相当な範囲内である限り、事業として利益を生まなければならないのですから当然の価格設定であると考えます。)。

なお、当事務所の顧問先は、当事務所が会計を担当し、税理士作成の申告書類も把握しているため特に問題は生じていませんが、新規に受任する場合、必要な書類に不備・不足がある等の理由で、特別な対応が求められるケースが想定されます(ほかに特例を利用して申請する法人等)。
その場合は、完全成功報酬で、給付額の10%を限度(税別)として、かかった労力に応じて料金を加算させていただきます。
その判断は、書類を確認した時点でできますので、後になってから説明のない請求がされることはありません(書類確認の時点では報酬は発生しません。)。

報酬額の基準
完全成功報酬で、給付額の3%が原則。例外的に必要書類に不備がある場合等に、給付額の10%を限度として加算。
報酬額は税別で、書類の郵送にかかる費用等の実費は自己負担となります。

なお、書類を確認し、聴き取りをした段階で、持続化給付金の給付要件を欠いていると判断したときは、その時点で依頼をお断りさせていただいております。それにつき料金は発生しませんので(書類の郵送料等の実費は別)、ご了承ください。

(2)連絡方法
①「お問い合わせ」フォーム(当サイト下部及び上部のバーに設置)より、記入事項を記載してご連絡ください(希望する連絡先電話番号も記入。電話連絡を希望する時間帯もあれば教えてください。)。または電話にて当事務所までご連絡をお願いします。
②当事務所より、確認したい事項や必要書類をメールまたは電話にてご連絡させていただきます。
※新型コロナウイルス感染防止の観点から、個人であれば身分証のコピー(運転免許証やマイナンバーカード等の写し)、法人であれば代表者のそれに加え、法人に関する登記事項証明書または印鑑登録証明書を確認し、当事務所より書類を転送不要郵便で送ることで本人確認をしますので、完全非対面で手続きをします。よって、全国対応が可能です。

 企業法務顧問の意義とご案内

本持続化給付金は、申請手続きのほか、会計に関する知識や資料が必要となっています。そして、当事務所の顧問先はいち早く給付金を受給できたことからもわかるように、企業活動において企業法務顧問は有益な存在です。
他方で、予算や求めるレベルは企業により様々ですから、当事務所の顧問契約は画一的なものではなく、オーダーメイドで構成しています。
たとえば、月額1万円(税別)で会計記帳と基本的な法務相談のみを依頼している顧問先もあれば、月額3万円(税別)で高度かつ継続的な法務対応(契約書等の書面作成、企業法務戦略の対応等)を依頼する顧問先もあります。
もし、本投稿を機に、企業法務顧問の存在に関心がわいた方がいましたら、予算やご要望をお伝えいただければ、オーダーメイドの顧問契約内容を提示させていただきます(見積り無料)。
さて、その他の給付金も見落としてはいけませんので、続けてご案内します。

 その他の給付金について

ほかに、各地方自治体により新型コロナウイルス対策として実施している給付金もあります。たとえば、当事務所のある千葉県も独自の給付金があり、当事務所の顧問先も申請しています。ご自身が所属する地方自治体においても、独自の給付金がないか、その申請方法や要件は何かを確認する必要があります。これを見落とさないことはとても重要です。希望であれば当事務所でも対応致します。

また、従来からある「小規模事業者持続化助成金」という、経済産業省及び日本商工会議所が実施する中小企業の「販路開拓」を目的とした助成金がありますが、これに「コロナ特別対応型」(例:非対面型ビジネスモデルやテレワークの導入等の助成)が新設され、申請が通れば補助上限額100万円(取り組みにかかる費用のうち3分の2または4分の3を補助する方式)の給付が受けられることとなります。
この小規模事業者持続化助成金は、持続化給付金と異なり、申請の採択は選考により、また助成金も採択後に実施した取り組みにかかった費用を事後的に補助するかたちとなる点が異なりますが(ただし、コロナ特別対応型は例外的に遡及適用あり。)、ウイルス対策を取り入れたい企業にとっては重要と考えられます。
小規模事業者持続化助成金(コロナ特別対応型)の次回締切は2020年8月7日(金)、その次は2020年10月2日(金)となります。事前に管轄の商工会議所で作成してもらう書類もありますので、早めの準備が必要となります。
計画の立案や書類作成は業務としては行政書士業務となりますが、商工会議所も相談に乗って助言等をしてくれます。

なお、従業員の給与に関する「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」の申請を業務として代理・代行できるのは社会保険労務士となります。

<参考文献>
経済産業省サイト「持続化給付金」(当サイトにある「申請要領」等含む。)
https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html
中小企業庁サイト「持続化給付金」
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
商工会議所令和2年度補正予算小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型
https://r2.jizokukahojokin.info/corona/