ビジネス法務エグゼクティブ
(ビジネス実務法務検定1級)
特定行政書士 安平 一樹
最近、テレビでも耳にすることが多くなったSDGs(エスディージーズ)。
そのSDGsについて、企業法務の専門家であり「社会生活上の医師」として市民法務にも取り組む当職が、企業経営の観点から暮らしに関する重要性までを解説します。
まず、SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略であり、21015年9月に開催された国連で定められた国際社会共通の目標です。
その内容は、2030年までの達成すべき17の目標で構成されています。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう(性差別のない社会)
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
そして、上記17の目標をより具体化した「169のターゲット」があります。
詳しくは、朝日新聞デジタル「SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例あり」(2019年3月15日)で解説されています。
SDGsに関する朝日新聞デジタルの記事はこちら
また、この朝日新聞デジタルの記事では、なぜ今SDGsが話題になっているのかにつき、2006年当時の国連事務総長が責任投資原則を金融業界に向けて提唱したことが紹介されています。
それは、機関投資家(大規模な投資を行う企業・金融機関などの投資家)が企業に投資をする際には、財務情報のみでなく企業の社会的な責任を重視すること、すなわちESG投資をすることが国連により求められたわけです。
ESG投資におけるESGとは、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance=統治)」を意味し、日本企業も機関投資家に選ばれ投資を受けるためにこのESGに基づいた経営をすることが必要となり、それを考える指標としてSDGsが用いられていることが記事で説明されています。
なお、当職執筆のESG投資に関する日本企業の取組みに関するものとして、下記の記事があります。
また、日本経済新聞電子版では、SDGsに関する企業の偏差値表を設けています。
この「2020年 SDGs企業番付表 総合力上位に入ったのは」(2020年11月17日)では、偏差値70以上の企業として、キリンHD・コニカミノルタ・リコーの3社を挙げています。なお、次に紹介するニュースにあるオムロンも偏差値65以上70未満の企業となっています。
日本経済新聞電子版「SDGs企業番付表」に関する記事はこちら
日本経済新聞電子版「オムロンなど温暖化ガス2割削減 日経SDGs調査」(2020年11月17日)では、SDGs偏差値上位企業(偏差値70以上+偏差値65以上70未満)の各企業の成果として、温暖化ガスの削減やコロナ禍における雇用維持を挙げており、「SDGsを経営に取り込んでいる企業ほど、危機下でも投資家の評価を得ている」としています。
日本経済新聞電子版「日経SDGs調査」に関する記事はこちら
以上より、SDGsはESG投資を実行する機関投資家の評価を得るための基準として機能しており、今後、投資を受けるため日本企業においてもますます経営上意識すべき指針となると考えます。そして、企業から社会、社会から行政、様々なルートでSDGsの取組みが波及することで、日本社会がより市民にとって暮らしやすいものとなると解します。
その上で、我々自身もSDGsの社会的意義を理解しておくことが重要といえるでしょう。