ビジネス法務エグゼクティブ
(ビジネス実務法務検定1級)
特定行政書士 安平 一樹
当職は、登録確認機関として一時支援金では270件の事前確認を無料で担当しました。
そこで、登録確認機関の特徴と選び方の「概要」を解説した後、当事務所の紹介をさせていただきます。
1.登録確認機関の概要
まず、登録確認機関(ここでは士業等の機関に限定します)の分類として、(1)当該機関の顧問先以外でも事前確認を受け付けるか、(2)顧問先以外も受け付けるとして、有料か無料か、有料の場合の金額はどの程度かがあります。
この(1)・(2)の基準のみで多くの方が登録確認機関を選択していると思いますが、同じ士業でも違いがあるように、登録確認機関にも様々な違いがあります。
たとえば、事前確認につき同じ有料でもその価格が税込5,500円程度であれば、それは給付金申請の趣旨に基づき支援と事業の両立を図っていると考えられますが、万単位の報酬額であれば純然たる事業として取り組んでいるといえます(事業者なのですから、純然たる事業として営業すること自体が否定されるものではありませんが、価格設定によっては問題となることもあるでしょう)。
また、無料である理由が営業目的である登録確認機関もあります(1受給者につき1,000円の手当付)。
たとえば、開業してからまだ仕事がない士業の場合、1件1,000円の手当でも利益が出ますし、やり方により営業行為も可能でしょう。
一方で、なんらかの理由・信念に基づいて事前確認を無料で行う登録確認機関もあり、当事務所もそれに該当します。
そして、有料・無料にせよ、どの程度の実務経験や能力がありそれが事前確認に活かされているのかや、普段どのように仕事をし顧客と関わっているのかという姿勢の違いは、事前確認においても大きく表れます。
以下は、当事務所の事前確認の特徴を紹介します。
たとえば、当事務所は必要書類のコピーをとり、オンライン形式は事前に書類の写しを郵送する必要があることが合わない申請希望者もおり、登録確認機関による違いや相性がありますので、ご自身に合った登録確認機関をお選びください。
当事務所の事前確認の特徴
(1)事前確認を無料で実施する理由
事前確認は支援金申請をする上で不可欠の手続きでありながら、それを無料で受けられる方とそうでない事業者が生じてしまう仕組みです。つまり、行政手続の原則に反する結果が生じており、そこに「選択の自由」がありません。
世界規模で人々が苦しむ非常事態の中、苦境に立たされる事業者のため、法律家としてできることは何なのかを考えたとき、それは事前確認を無料で実施できる権限を正しく使い、しかも有料以上のサービスを提供するという結論に至りました。
より詳しい理由に興味のある方は、下記記事を参照ください。
事前確認を無料で行う3つの理由
(2)実務経験を活かした事前確認
当事務所は企業法務を専門としており、顧問契約を締結する企業のほか、様々な法人・個人の会計書類をみており、また当事務所が会計記帳から決算書の作成までを担当している会社もあります。
その経験により、正確に確定申告書等の書類を確認できるほか、帳簿書類を事業の形態に合わせて適切に確認し、不足があればそのそろえ方を当職の責任と裁量で助言できます。
これは実務において様々な事業の特徴と会計を経験し、許認可・補助金申請等により行政手続きにも精通しているからこそできるものです。
つまり、選択する登録確認機関により結果が異なる事案があり得ます。
たとえば、当職は非常に難しい事案2件を事務局と交渉した上で正式に事前確認を通しています。
これは普段から行政庁と交渉している経験と法的知見を駆使し、相当な時間をかけて臨んだ結果ですので、当事務所にしか通せなかった案件と言っても過言ではありません(しかも事前確認に関することなので無料で行いました。ただし、相当な負荷があったので常に行えるわけでもありませんが、見捨てることもできませんでした。)。
(3)丁寧な対応
事前確認を無料で実施することは、事業者として相当な負担を背負う必要があります。
そのため、登録確認機関側も電話やメール、またはそのどちらかの相談はお断りする等の措置をとることがあります。
一方で、当事務所は電話やメールでの事前相談を受け付け、しかも代表行政書士である当職がすべて担当しています。
その理由は、事前確認の必要書類のうち帳簿書類は事業者によりすべてそろわないこともあり、けれどもそれが事業の形態からして通常のこともあるし、不足を他の書類で補えることもあります。そうした責任と裁量が求められる判断は当職にしかできませんので、事前相談の段階から丁寧なサポートをするために行っています。
なお、帳簿書類のほか、確定申告書の控えも判断が難しいことがありますので下記記事もご参照ください。
確定申告書のそろえ方
また、事前確認を担当するのは当職のため、事前相談の時点から雰囲気が伝わったほうが申請希望者も安心できるだろうということもあります。
実際に、士業と初めて接する方は事前確認を受ける前は不安だったようですが、終った後は非常に安心されています。
無料であっても当事務所の顧客と同じように接するという姿勢により、事前確認を受けやすく相談しやすい雰囲気が伝わったなら幸いです。
また、事前確認と本申請ではチェックされる要件や書類に違いがあるため、事前確認が済んでも本申請で不備が出て対処に困る方も一定数います。
その場合、申請サポートに問い合わせるのが通常ですが、当事務所は申請手続きも代行できる行政書士事務所ですので、当職の事前確認を受けた方については、申請に関し不明な点や不備が出たときの対処方法まで、一般的なものであれば無料でサポートしています(一時支援金では270件中2件のみ、有料でないと対応できない事案もありましたが、それは申請サポートに問い合わせて解決できるものではないので、当職の事前確認を受けたことにより申請が通った案件であったといえます。また、報酬額も給付額の3%+税という支援価格で行いました)。
(4)証拠書類の保管等、申請希望者を守る措置+守秘義務
当事務所では、事前確認で確認した書類のうち、必要部分はコピーをとらせてもらっています。
それは、当事務所がどのような書類に基づき事前確認において申請希望者の事業性を認定したのかという証拠を保管することで、事前確認を受ける方を守る効果があるからです(また、後に本申請で不備が出た方の書類確認が一部円滑となり、サポートしやすくなるという効果もあります)。
また、行政書士は行政書士法による守秘義務を負いますので、その点も安心していただける要素であると考えます。
もっとも、それでも確定申告書や帳簿書類のコピーを保管されることに抵抗がある方もいますので、その点は相性によることとなるでしょう。
(5)一時支援金での経験・実績
冒頭でも紹介したとおり、当事務所は一時支援金の事前確認270件を面談・オンラインの双方で実施した実績・経験があります。
たとえば、一時支援金のときから、事前確認で案内しなければならない文書につき、面談では印刷をして渡し、オンラインではメールにデータ添付して送信しています。
その書類はネットにアップされているので「必ず読んでください」と伝えればよいことに登録確認機関のマニュアルではなっていますが、印刷したほうが読みやすいだろうということと、手元に必要書類とともに保管してもらえれば「きちんと読んで申請した」という証明にもなり申請希望者を守る効果があるのでそのように対処しました(メールに添付されたデータでも同様に、「読んだ上で申請した」という証明になると考えました)。
また、事前確認270件の経験から、本申請後に不備が出ても当事務所まで問い合わせることができずにいた方やその不備内容の傾向も把握していることから、月次支援金ではよりきめ細やかに配慮できればと考えています。
実際に、他の登録確認機関で事前確認を受けたけれど申請が通らなかった方から、月次支援金では当事務所に事前確認をお願いしたいという依頼も来ています(当事務所で事前確認を受けた方からの紹介が多いです)。
今回の一時支援金では残念ながら、申請期限後に対処できる不備とそうでないものがあり、申請期限後に相談を受けた件については救済できないものが多く、当職も非常につらい思いをしました。
本来、緊急事態宣言の影響で事業収入が減少し苦境に立たされている事業者を救済するための支援金であるはずが、複雑かつ日本の事業者の傾向に合わない部分もある申請要件及び手続設定により、給付金を受給できなかった方が多くいるという現実を当職も重く受け止めています。
月次支援金においても、少しでも多くの適切な事業者が給付金を受給できるよう、可能な限り、努力していく所存です。