令和4年1月18日
更新:令和4年1月26日
更新:令和4年2月28日
ビジネス法務エグゼクティブ
(ビジネス実務法務検定1級)
特定行政書士 安平 一樹

当事務所は、一時支援金・月次支援金において事前確認を無料で実施し、当職から事前確認を受けた方には申請方法で不明な点や不備が出た際の対処まで無料でサポートしてきました。
一時支援金「事前確認」の様子
月次支援金「事前確認」の様子

また、当事務所で一時支援金の事前確認を受けた事業者(270者)の中から、いわゆる「不備ループ」が生じた方はゼロだったため(申請に対する受給率約98%で、当事務所が申請代行した10者は受給率100%)、当初は不備ループ対応の取組みは行っていませんでしたが、看過できない社会問題であると受け止め、不備ループへの対処も行うこととし、下記サイトから3件の依頼があり(どれも単なる不備の連続ではなく「不備ループ」事案)、そのうち2件は不備ループの解消に成功しました(申請代行1件・相談対応1件で成功。ただし、申請代行で1件不給付決定も経験しています。)。
一時支援金「不備ループ」の原因と対処法

一時支援金においては、不備ループで求められる書類の不足等を、事業形態に即した説明や解釈、補填資料の提出により補うことがある程度可能だったことによります。

しかし、月次支援金においては不備ループの態様がさらに変化し、大量に提出が求められる書類の不足や審査部の給付要件判断や書類チェックの誤りを説明・解釈、追加資料の提示で補うことが原則としてできなくなりました(審査官により多少のバラつきがあるようなので、例外も生じ得ますが稀と思われます。)。
つまり、法律家であり行政手続きのプロである行政書士にも救済することができなくなってしまったわけです(もっとも、当職の助言により書類を適切にそろえることができた事例については、月次不備ループの解消に成功しています。)。

しかも、2021年12月頃から申請期限を早期に区切る対応が始まり(マイページに期限が表示されるようになり、再申請に対しての不備による期限の更新が行われにくくなった。)、月次支援金は1者につき複数月の不備ループが生じているため、その時点で5者(すべて当事務所以外で事前確認を受けた事業者)の不備ループ対応を抱えていた当職は、一度に十数件の不備ループ事件を抱えてしまうこととなり連日のように不備ループ対応と締切りに追われ、また月次不備ループの提出書類の量が多く、不備通知のたびに提出書類も変更されることからデータ作成にも相当の時間が奪われ、深夜まで不備ループに支配される日々が続きました。
それが12月という、我々士業にとって最も忙しい時期に起きてしまい、寝る時間も惜しんで取り組むも成果は出ず(100時間超を無報酬で費やした。)という事態に陥り、2021年12月20日をもって月次支援金の不備ループ対応は締め切らざるを得なくなりましたが、現在は相談業務に特化するかたちで対応を開始しました(詳しくは下記サイト参照)。
月次支援金「不備ループ」対応等の相談業務の再開(有料)

不備ループ対応の打ち切りをやむなく決断したとき、不備通知に苦しむ事業者を救済できないことにひどく心が痛みましたが、本来の業務への支障が大きく、事業を維持し職員と顧客を守るためには必要不可欠な措置でした。
もっとも、すでに依頼を受けた事業者については引き続き対応をすることで責任を果たし、当職は年末年始も休まずに働くことでなんとか本来業務を全うしつつ全不備ループ再申請をやり遂げることができました。
特に、2022年1月7日は3者の計6申請の締切りが重なり、どの申請も当日に資料提出があったため(どの事業者も働きながらギリギリのところで戦っているため仕方のないことです。)、その日は深夜まですべて不備ループ対応で終わってしまいましたが、それに対しても期限延長はあったものの再び不備通知が発せられ、本稿執筆時点の現在も対応は終わっていません。

以上の経験から、月次支援金の不備ループ対応では、①不備通知で求められる書類を欠けることなく提出することが最低条件であり、②さらに事業区分該当性から緊急事態宣言等の影響で減収したことが推定できる証明の追加事由が必要となるということが、現時点における不備解消のための要件と考えられます。
つまり、正当な理由があっても書類の不足は補えず、稀に月次支援金の不備ループが解消される事案があるとすれば、①全書類を不備通知どおりに提出できた事業者で、かつ、②の要件も充足した者といえるでしょう。
実際に、そのとおりに書類をそろえることに成功した事業者に関しては、当職は月次不備ループ解消に成功しています。

当職は、このような状況で事業復活支援金が始まることを非常に危惧しており、同支援金においては真正な事業者が不備ループにより不給付決定とならないよう、事前確認等の対応をより強化することに決めました。
そのため、やむを得ず事業復活支援金からは事前確認を有料とし、事前確認及び不備ループ対応で積み上げた経験を活かして運用できればと考えています。