特定行政書士 安平 一樹
まず、時事ドットコムニュース「『あだ名禁止』2割が賛成 小学校時代に『嫌な思い』-民間調査」(2020年11月12日)を紹介します。
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ここでは、小学校の「校則」で「あだ名を禁止」することの是非についてのアンケート調査結果(日本トレンドリサーチ)が取り上げられています。
当職もいじめ対策の専門家として、この「あだ名禁止」の校則につき、若干の補足説明を付したいと思います。
まず、あだ名を禁止する意図は、「さん付け」等で呼び合うことでお互いを対等な立場から尊重する精神を養い、いじめを未然に防ぐことにあると考えられます。
よって、あだ名を禁止するルールが大事なのではなく、相手の立場に立って考える力を幼い頃から培うことが重要で、そうした教育が継続してなされることがいじめの防止につながることとなります。
あだ名禁止の校則は、そのための「教材」と例えることができるでしょう。
この点、仮に教育の部分が欠如し、あだ名禁止の校則というルールに頼る形式的な学校運営がなされたならば、いじめ防止効果は失われると解します。
確かに、あだ名には良い面と悪い面があり、用い方を誤れば深刻ないじめにつながる危険性を有します。一方で、人間関係を円滑にし、時にはその人にとって生涯の宝となるようなあだ名も存在します。
実際に、私が小学生の頃につけたあだ名を気に入り、大人になっても使っていることを当時の友人から教えてもらったことがあります。
いじめ防止対策推進法は、いじめの定義を「相手が心身の苦痛を感じる行為」としています。
いじめ防止対策推進法第2条
第1項 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
第2項 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
第3項 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
第4項 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
いじめはあだ名のみが原因で起こるものではありませんので、日頃より「相手がどう感じるのか」を考え、相互に気持ちを伝達する訓練を学校教育の中でも(もちろん家庭教育においても)行うことが、最も効果的ないじめ予防策となると考えられます。
その具体的な実現は容易ではありませんので、当職のようないじめ対策の専門家がいるといえます。
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